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島田校長の
知っておくと得する!?面白英語知識
その6


「何もございませんが、どうぞお召し上がり下さい」
これは英語で何と言うでしょう?

We have nothing, but please help yourself.

と言えば、「何もないのに、何を食べろと言うんだ。こんなに美味しそうなものがあるじゃにか。日本人は何故ウソをつくんだ!」と言われてしまうでしょうが、日本人だったら、やっぱりこういうウソはつきたくなります。
似た表現で「つまらないものですが、どうぞお取り下さい」

I have a coarse present for you.

coarse=お粗末な という意味です。あるいはもう少し易しく言って

This is a poor thing, please take it.

しかし、こんなことを言ったら受け取ってくれないでしょう。では、こんな時何と言うのでしょうか?
人によっていろいろな言い方がありますが、私が外国滞在中よく言われたのは、

食事の時は Please help yourself, I hope you like it.
といった表現でした。

贈り物の時は I have a small present for you.
と言う人が多かったような気がします。
食事の時と同じように I hope you like it. と付け加える人もいました。

このように、英語でも謙遜の気持ちを多少出す表現はいくつもあります。ストレートに表現すれば良いというものでもありません。そこが難しいところですが、英語圏の人々から見れば、日本的な表現はウソに聞こえるでしょう。

 

このことから文明論に飛びますが、要するに英語的な発想が正しく、日本的な謙譲の心からくるウソが愚かで悪いものかどうかということです。 現在、アメリカ経済と軍事力の強さから、アメリカ的文明、すなわちアメリカ的ものの考え方が世界の標準になりつつあります。
ふと思い出すことなのですが、 以前、日本ニュージーランド協会の例会でマオリの歌と踊りを披露してくださった方が、マオリの生活と考え方について話してくださいましたが、その中で面白い事を言った事が心に残りました。
マオリの人々は、自己主張したり自分をひけらかしたりする事を著しく恥に思うので、自分にはこれこれの能力がある、これこれに優れているなどと面接試験で言わないそうです。 とすると、彼らは日本人よりももっと謙遜のウソをつくかもしれません。
ある人類学者の話では、チベットのある人種の少女は、恥じらいのゆえに顔をぽっと赤らめて何も言わない時があるそうです。この恥じらいの表情が出るのは、世界でもチベットと日本の少女だけだそうです。(日本では最近少なくなりましたが)
強大なアメリカ文明が続く限り、自己主張が強い言葉が正しいものと思われ、それが世界の共通感覚とされるでしょう。しかし、アメリカが永久に世界一であり得るとは限りません。また、別の言葉の感覚が共通のものとなるかもしれません。
私がもし後30〜40年生きていたとしたら、『人類の謙遜と恥じらいの歴史』という本を書きたいと思います。

 

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